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【エンジン技術者注目の水噴射とは?】果たして燃費・出力向上の革新アイテムとなるのか

水噴射

こんにちは、だいです。

現在エンジン技術者の間で注目の革新アイテムに『水噴射』という技術があります。
今回はこの水噴射について考えを述べていきたいと思います。

水噴射とは?

水噴射とは、燃焼室内に空気と燃料だけでなく水を噴射する技術のことです。
なお、現在市販車で量産化できているのはBMW・M4GTSに搭載されている直列6気筒3リッターの1基だけだそう。

水噴射
引用:https://www.car-and-driver.jp/business_technology/2019/10/08/post-33/

水噴射の目的は次の通りだと考えられます。

①燃費向上

②出力向上

2030年にかけて環境規制が厳しくなる中、より一層エンジンの熱効率を上げる手段として注目されているのです。
それではなぜ、燃費向上と出力向上に貢献するのか考えていきたいと思います。

燃費向上に貢献する理由とは?

水噴射が燃費向上に貢献する理由として、燃焼温度低減による冷却損失改善、つまり熱効率向上が考えられます。

◆考えられる水噴射時期は2つ
①圧縮工程で噴射し空気と混合させる
②膨張・排気工程で噴射しガス温度を下げる

①の場合は、空気と混合させることで混合気中にH2Oが混じり熱容量が増加。比熱比UPにもつながり燃焼温度の低下になります。
それにより、シリンダー壁面などからの冷却損失を改善し、熱効率向上へ繋がると考えられます。また吸気温度は常温よりは高いため、水を噴射することで少なからず気化潜熱のような効果も得られると思います。高回転高付加時には吸気圧が高まることで吸気温度も高くなるので効果はより顕著なはずです。

②の場合は、気化潜熱を利用し排気ガス温度を下げることに繋がると考えられます。
ただ膨張・排気工程で噴射する場合、水噴射用のインジェクターを燃焼室に直接つける必要があります。その場合、燃料インジェクターも同じですが燃焼室直噴だと高圧噴射が必要になるため装置が大掛かりになりコストアップにつながりかねないと考えられます。
その点、①であればポート噴射となるため負担は少なくなることでしょう。

出力向上に貢献する理由とは?

水噴射が出力向上に貢献する理由として、燃焼温度低減によるノッキング耐力向上が考えられます。

水噴射が大きな効果を発揮するのは、燃費向上でも説明した通り高回転高負荷時
高負荷では燃焼温度が高まりノッキングの懸念がありますが、水噴射により燃焼温度を低減できれば耐力も向上します。

また、ノッキング回避のため通常点火タイミングを遅角させて出力を落としているような領域では、点火タイミングを進角させられるため出力向上にもつながります
さらには燃焼前の吸気温度低下により、空気密度がさがるため充填効率がアップし、その点も出力向上に寄与します。

前項では書きませんでしたが、点火進角できれば燃焼期間が短縮され、さらに燃焼温度を低下させることができます。そのため遅れ損失が減り燃費向上にも繋がるので、燃費にも貢献するのです。

水噴射は一般的になるのか?

私が気になるのはメンテナンス面です。

水を噴射するのは高回転高負荷時が多く、日本の場合4000回転以上で運転するようなケースは少ないので、水噴射の利用頻度は少ないと考えられます。
もし水が切れた時はどうすればいいのか、水道水でいいのかなど、メンテナンス面が気になるところではあります。

また水噴射装置もインジェクターやタンク、配管などがあるとするなら、装備自体が高価になるため一般車には搭載できず、高級車やスポーツ向けの車に装備されてくると考えられます。

革新的なアイテムではありながらも、軽自動車やコンパクトカーに応用できないのは残念ですね。ぜひ今後の動向に期待したいところです。

以上、水噴射に関する解説でした。
水噴射に関しては以下の雑誌にも掲載されています。
ぜひ参考にしてみてください。

参考書籍に関しては以下の記事も掲載されておりますので併せて参照ください。
[blogcard url="https://www.rough-ni-ikou.com/enjine-moterfan/"]

以上、ありがとうございました。

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