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【エンジンの知識】図示熱効率向上するには?ポンプ損失を解説②

サイエンス

『【エンジンの知識】図示熱効率向上するには?ポンプ損失を解説①』に続き、今回もポンプ損失に関して解説していきたいと思います。

まず、前記事のおさらいであるポンプ損失とは何か?から復習しましょう!

ポンプ損失とは?

ポンプ損失とは何か?

そもそも内燃機関は、ポンプのように空気を吸入って、排気ガスを排出します。これはピストンが作動ガスに対する仕事であり、排気側圧力が吸気側圧力より高ければ負の仕事となり、損失となります。この損失をポンピングロスと言います。

と言っても難しいので、簡単にイメージを表すと以下の通り注射器と同じなのです。

注射器を模擬している下の図をご覧ください。

注射器

パターン①の場合、口が細いため、水を押し出そうとすると少し抵抗を感じるはずです。そしてその分水が出る勢いが強くなります。

パターン②の場合、口が太いので、水を出す際に抵抗を感じません。そのため、水はチョロチョロでて勢いは弱いです。

このような現象はホースや水道の蛇口でも同じ現象になり、多くの方が一度は遊びついでに経験したことがあるのではないでしょうか。

このパターン①のような”抵抗”が『ポンプ損失』と呼ばれます。

ポンプ損失ってエンジンのどこで発生する?

ポンプ損失がガソリンエンジン上のどこで初発生するかは主に以下の個所になります。

スロットルバルブ(ディーゼルエンジンの場合は無)

吸排気バルブ

図解で説明すると以下の通りです。

スロットルバルブ

空気は矢印の通りに吸入され、排出されます。吸入される際に、まず抵抗になるのが『スロットルバルブ』です。スロットルバルブは、シリンダー内に入る空気量を調整し、エンジンの出力を調整しています。

ポンプ損失_図解_スロットル開度小

このスロットルバルブは、私たちが運転するときに踏んでいるアクセルペダルと連携していて、アクセルを少し踏めばスロットルは少し開く。高速道路みたいに、アクセルをたくさん踏めばスロットルがたくさん開きます。(下図参照)

ポンプ損失_図解_スロットル全開

前の項目で注射器の説明をしましたが、それと同じでスロットルが少ししか開かないと、抵抗になってしまい空気はシリンダーに入りにくくなってしまいます。

まずここが損失ポイントです。

吸排気バルブ

次は『吸排気バルブ』です。

こちらも空気が入る際にバルブが開くのですが、バルブが開く面積はアクセル等とは関係なく一定です。そのため損失も一定となります。そのため、エンジン開発者はできるだけこの部分が抵抗にならないようにバルブの形を設計しているのです。

①吸気

ポンプ損失を改善するには?

ポンプ損失は『スロットルバルブ』と『吸排気バルブ』が抵抗になることで生じます。

なので抵抗にならないような策が改善策になります。

具体的な策としては以下の通りです。
A:排気再循環(EGR)➡前記事で説明済
B:希薄燃焼(リーンバーン)➡前記事で説明済
C:可変動弁機構➡回説明
D:気筒休止➡今回説明

可変動弁機構

現在の量産されているエンジンでは可変動弁機構というものがついています。

”動弁”とは?

まず、『動弁』についてご説明します。

下図の通り、エンジンの燃焼室には吸気・排気バルブというのがついていて、このバルブの開閉により空気が吸気・排気されます。

燃焼室

このバルブを動かしているのは下図の通り、カムシャフト・ロッカーアーム・バルブスプリングなどで構成される機構です。バルブ(弁)を”動”かすので、”動弁”っていう名前になっています。

動弁

下図の通りカムシャフトが回転することで、ロッカーアームを押し、バルブが押され、開きます。これが吸気・排気と繰り返されます。

動弁_1

ここまでが動弁の説明になります。

”可変”とは?

次は『可変』についてご説明していきます。

下図をご覧ください。吸気バルブと排気バルブの開閉タイミングを図示しています。

簡単に説明すると、順番としては排気開⇒排気閉&吸気開⇒吸気閉、となります。

動弁

可変の場合は下図の通り、バルブの開閉タイミングを調整できるのです。このメリットについて次項で説明していきます。

動弁_1

参考)アトキンソンサイクル

なお、ピストンが下死点に到達するより手前で、吸気バルブが閉まることを早閉じといい、その早閉じさせる燃焼サイクルをアトキンソンサイクルと呼びます。

【通常のサイクル(下死点で吸気バルブ閉)】

サイクル_一般

【アトキンソンサイクル(ピストン下死点手前で吸気バルブ閉)】

アトキンソン

参考)ミラーサイクル

また、ピストンが下死点を過ぎた後に、吸気バルブが閉まることを遅閉じといい、遅閉じさせる燃焼サイクルをミラーサイクルと呼びます。

【ミラーサイクル(ピストン下死点通過後に吸気バルブ閉)】

ミラー

可変動弁がなぜポンプ損失を改善?

吸気バルブの遅閉じ、つまりミラーサイクルの時を例に、ポンプ損失改善の理屈を説明します。

まず一つ目です。ピストンが下降するとその勢いでシリンダー内は負圧(掃除機的なイメージ)になり、吸気ポート内の空気が吸い込まれます。そのため、スロットルバルブ前後での圧力差が減り、抵抗がなくなるのでポンプ損失が減るのです。

また、前項でご説明した通り、吸気・排気のバルブタイミングを可変させると、吸気・排気バルブが両方開いている期間があります。これをオーバーラップといいます。オーバーラップ期間は空気が排気されその勢いで新気が吸気されるので、この点でもポンプ損失を改善できるといえます。

動弁_1

二つ目です。オーバーラップ期間で排気・吸気が両方開いている際に場合によっては排気ガスが出て行ってくれない場合があります。これを内部EGRと呼びます。

この際に、シリンダー内のガスに排気ガスが含まれてしまい酸素が足りないので、酸素を取り込もうとスロットルバルブが開き、抵抗が減るためポンプ損失が改善されるのです。

以上までが可変動弁によるポンプ損失改善についてでした。

気筒休止

気筒休止とは、4気筒エンジンの場合に1気筒を止めて3気筒で運転するということです。

その場合、1気筒分何も動かなくなり空気を吸いません。そのためスロットルバルブも開かないので本来抵抗になるはずだった部分がなくなるのです。そのためポンプ損失が改善されるのです。

 

いかがでしたでしょうか?

以上がポンプ損失改善についてのご説明でした。

ありがとうございました<m(__)m>

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